ドクター

躁鬱病と呼ばれていた双極性障害|深刻なストレスに立ち向かおう

気分の波を抑える生き方

看護師

気分安定薬に高い効果

気分の波が大きい人というのはよく見かけるものです。あるときは誰よりも陽気にはしゃいでいたかと思えば、別のときは別人のように落ち込んだりする人も珍しくありません。それも人それぞれの個性として、性格の一部とみなされるのが普通です。しかしながらそうした気分の落差も、あまりに激しすぎるとしたら心の病気が疑われます。極端に塞ぎ込んでいるときはまだしも、周囲の人も巻き込む形でさまざまな騒動を起こす場合は見逃せません。本来の性格から考えても異常としか思えない気分的高揚が見られる場合は、双極性障害という病気の可能性があるのです。この病気はかつて躁うつ病とも呼ばれていました。気分の病的な高揚は躁状態と呼ばれ、双極性障害の大きな特徴です。うつ状態になるとうつ病と見た目の区別がつかなくなります。そのため専門の精神科医でも診断が難しい病気として知られています。うつ病と双極性障害では治療法がまったく違ってくるため、躁状態をいかに見抜くかが精神科医の腕の見せどころです。精神科の病院を受診して双極性障害と診断されれば、この病気の特効薬とも言える気分安定薬を処方してもらえます。気分安定薬にはその名の通り、激しすぎる気分の波を落ち着かせる作用があります。躁状態の症状が強く出ているときは抗精神病薬も処方され、他人を巻き込むような行動が抑制されます。うつ状態には抗うつ薬も補助的に使われ、前向きな気分を取り戻すのに役立てられます。こうした薬の効果によって、たとえ入院することになったとしても退院が早くなりました。気分安定薬のおかげで早期の職場復帰が可能になった人も少なくありません。こうした薬を処方してもらえる精神科の病院は、長い間不安定な気分の症状に悩まされてきた人たちの間で人気を集めています。今までは性格の問題として諦めていた不安定な気分の状態も、心の病気と認識することで治療への道が開けるものなのです。

長期間の治療をサポート

最初に双極性障害を発症した際には、躁状態かうつ状態から次の状態へと交替するまで5年程度の長い間隔が開くものです。治療せずにいると躁状態とうつ状態を一生の間に何度も繰り返し、交替間隔も短くなってきます。多い人では1年に4回以上も交替すると言われているのです。薬の効果で症状が落ち着いているように見えても油断は禁物です。症状が出ていない間も継続して薬を飲み続けることで、寛解の状態を維持することができます。双極性障害の治療は単相のうつ病と比べて長期間に及ぶ例が多いのです。ストレスは双極性障害を悪化させる要因にはなりますが、根本的な原因ではないと考えられています。むしろ脳の機能に何らかの障害が発生することで発症する側面があります。遺伝的要因に環境因子が複雑に作用した結果、神経細胞内のカルシウム濃度が制御できなくなるという説もあります。この状態を改善させるためにも気分安定薬の効果が高いのです。そうやって多くの患者さんがこの病気と付き合いながら、普通と変わらぬ日常生活を送っています。精神疾患の中でも双極性障害は、薬の効果が最も期待できる病気の1つだと言えます。効果をさらに強化するために、心理教育や心理療法も実施されます。再発予防を目的として行われる心理教育は疾患教育とも呼ばれており、長期間の安定を得るためは欠かせません。心理療法としては対人関係社会リズム療法や認知行動療法も同じ目的で実施され、寛解期の患者さんを病院側が支えています。双極性障害を発症すると、以前は社会的に少なからぬハンディを背負う例も少なくありませんでした。薬で気分の波を上手にコントロールできるようになった現在では、ハンディを気にすることなく生きることが可能です。精神科の病院では症状が落ち着いた後も患者さんを末永くサポートしています。精神科を受診した患者さんは受診しなかった人と比べ、人生もまったく違ったものになるのです。